新聞・コンテンツ百態

<新聞のデザイン>へ
斬新な1面トップと社会面との統一感
●縦7段の写真、1.5段角・裸見出し4文字。被写体の女性の髪の毛1本1本が見える写真(と印刷)……。
●これは「ニュース記事」である。読み物(フィーチャー)ではない。
●そして、関連記事が社会面トップ(下写真)にあり、そのデザインも同様の手法をとっている。1面、社会面のデザインを統一するという、いわば「アート・ディレクション」が意図的に行われている。
●両面の見出しの形を「裸見出し」にしているが、この「夢の痛み」も「喪失感」も、「抽象名詞」であり、ふつうは、主語に取る見出しではないが、それを敢行(かんこう)しているのである。
●見出しの「形」も「内容」も、既成を打破しているのだ。
2003年2月3日朝日・夕刊。




意見広告
●2003年1月29日付け朝日新聞朝刊に載った意見広告。この日、ブッシュ米大統領の一般教書演説があった。
重大ニュース報道
●2003年1月28日付け福井新聞朝刊。「ベタ黒白抜き見出し」に、全2段のスペースを割いている。「もんじゅ」は地元・敦賀市白木にある核燃料サイクル機構(旧動燃)の高速増殖炉原型炉だ。
●同日の朝日新聞朝刊。「ベタ白抜き」は同じでも、「1段3分の1」のスペースである。
全面広告
●2003年2月1日付け朝日・朝刊には、全面広告が2件。新聞紙面は、編集局管轄、広告局管轄の2系統に大別され制作され、広告制作は「デザイン業界」に直結している。
一般紙デザインの新しい試み・最近の傾向
●2003年1月26日朝日新聞・朝刊社会面トップのタタミ記事。
@見出しスペースの「余白」
A裸見出しの右下への配置
B正方形2個分の縦長の長方形写真
C16字詰め(基本段組11字9段の16字6段組)
Dこのタタミ記事の大きさを「A4」サイズにしている
……など、新聞らしからぬレイアウト、雑誌的なデザイン化の意図が見える。
 
●総じ新聞レイアウト・最近の傾向て、デザイン化が進んでいる。「デザイン化」は、「雑誌的デザイン」の摂取という現象であるが、雑誌デザインそのものではない。ブランケットという豊富なスペースで培われてきた「新聞レイアウト技法」は、あらゆるレイアウト・デザイン技術を包容してきたし、し得るメディアであるから、雑誌デザインそのものになることはない。
●右上にエネルギー(価値)があり、左下にはエネルギーが小さい、という伝統あついは固定概念を崩そうとしている。「デザイン」という観点(「視線誘導」、「視線の科学」など)から、紙面を見直そうとしている。例えば、「右上」よりも「中央」が、「自然に視線がいく」という考え方が浸透し、中央には必ずと言ってよいほど、写真・イラストなどのパンチのある画像物が置かれる傾向が強まっている。かつて、「へそ」「アイ・キャッチ」「アクセント」という位置づけでしかなかった「中央」「センター」は。読者の視線がまずはじめに自然に向かうところ、と認識されるようになった。
●センター放射のレイアウト、シンメトリー(対称)のレイアウトが多くみられるようになった。→「茶の本」と「マルメロの陽光」
●矩形、モジュール型、L型(流したたみ)が増え、「うなぎの寝床」のような流し記事が減った。
●低重心レイアウトなども、右上至上主義からの脱皮の現れだ。

*グラフ、イラストの進化
* 見出しのヴィジュアル化
* 禁じ手からの解放
* デザイン化。旧習脱皮 「やま・仕切り」の廃止
* 囲み・コラム内左下見出し
* 「面化」の傾向